かなり昔に「25歳はお肌の曲がり角」というフレーズが浸透しました。しかし生物学的には成長期を過ぎた頃、つまり10代後半から肌の老化は始まっているともいわれています。
肌の衰えを感じてしまいがちですが、歳を重ねるほどに同じ年齢でも若く見える人と老けて見える人の差がはっきりしてきます。この差はどこから生まれるのでしょうか？
体質や遺伝子の違いもあると思われますが、寿命に関する研究によりますと、「寿命」に対する遺伝子の寄与率は約20％と言われていて、残りの80％程は，後天的な要因が大きく占める、と言われています。
肌も同じように考えられると思いますが、老化の速度を自分自身でコントロールすることは可能で、生活環境要因を可能な限り良くすれば，肌の老化の速度を遅らせることができるはずですので、できるだけエイジングケアの対策を20代後半から始めたいものです。
健康な肌の場合、約28日周期で肌の新陳代謝が繰り返されています。しかし、年齢とともに新陳代謝は衰えて、周期も長くなります。さらに紫外線・乾燥・外的ストレスなどさまざまな要因によっても周期は崩れ、新しい皮膚の再生がうまくできなくなります。
肌の新陳代謝(ターンオーバー)が鈍化すると角質層が厚くなり、小ジワや毛穴が目立ってしまったり、肌のトーンが暗くなります。
化粧映えのする素肌と美髪をキープできれば、年齢にとらわれることなく、美しさを演出して日常生活に喜びをプラスすることができるはずです。
海藻類が注目を集める理由の一つとして、美容効果があげられます。
｜海藻ポリフェノール（フロロタンニン）
☆陸上植物には含まれない海藻特有の海藻ポリフェノールですが、このフロロタンニンは強い抗酸化作用を持っています。
老化の原因となる皮膚の酸化や紫外線から肌を守ってくれる海藻ポリフェノールは、近年、美容の分野でも注目されています。
また、フロロタンニンには抗アレルギー効果、抗菌効果があると報告されています。
フロロタンニンは非常に貴重な海藻由来の美容成分と言えます。
｜フコキサンチン（肌を活性酸素から守る）
☆フコキサンチンは、昆布など褐藻類の光合成に必要な色素として自然界に広く存在するカロテノイドの一種で肌のハリや潤いを作り出す作用に関わっていて、他のカロテノイドと同様、抗酸化活性を有します。
また、フコキサンチンは、コラーゲンの分解を予防してコラーゲン生成促進作用、そしてメラニン生成を抑えて、さらに色素沈着抑制作用・抗炎症作用・ターンオーバーを促す効果が報告されています。
そのため、フコキサンチンは美肌成分として注目を集めています。
また、フコキサンチンは抗酸化作用を有することから、紫外線や加齢などの引き金になっている活性酸素の悪影響を抑え、肌の老化を予防する効果もあると言われています。
｜フコイダン・アルギン酸・ラミナラン(βグルカン）
☆海藻には、肌バリアを作る成分が含まれています。
フコイダンやラミナランはコンブなど海藻類に含まれている「ぬめり成分」で、食物繊維の一種ですが、 海藻に含まれる必須脂肪酸とともに肌のバリアを強化して、乾燥や外的ダメージから肌を守ってくれます。
継続的な肌の乾燥は、老化の第一要因となりますので、潤いを保つ肌バリアをキープすることが大切です。
洗顔料は泡立ちが少ないものを、クレンジングはオイルクレンジングやバームクレンジングではなくクレンジングミルクをお勧めします。
また、フコイダンは、免疫力を高めたり、抗酸化作用で老化を予防する効果があるとされています。
生活習慣病予防や抗がん作用が期待できると言われていて、健康効果に関して今でもいろいろな研究が続けられています。
｜アミノ酸類
☆肌の一番外側の角質層の中にある天然保湿因子（NMF）として重要なのがアミノ酸です。
肌の潤いを保つ天然保湿成分の約半分はアミノ酸とピロリドンカルボン酸(アミノ酸からつくられる成分）で構成されています。
褐色海藻ラミナリア ディギタータは、グルタミン酸・アスパラギン酸・アラニン・ロイシン・プロリン・バリン・スレオニン・リジンをはじめ18種類のアミノ酸を含有しています。
この海藻のエキスには、肌の潤いを保つ天然由来成分が豊富に含まれています。
海藻の「旨み成分」と思われているアミノ酸は、肌の重要な保湿機能を担っているのです。
｜ビタミン類
☆人の体内で作ることができない貴重な栄養素。
ラミナリア ディギタータには、β-カロテン（体内でビタミンAに変わる）・ビタミンC・ビタミンE・ビタミンK、そして糖質からエネルギーを作り出す機能を助け、皮膚や粘膜の健康を維持するビタミンB1、B2、B3（ナイアシン）などのビタミン類も豊富に含まれています。
ビタミンA・C・Eは、若々しい肌をキープするために必要なビタミン類ということが知られていますが、ナイアシン(ビタミンB3)は今話題の美容成分で、不足すると、皮膚の炎症などを発症することがわかっています。皮膚などの新陳代謝の改善など様々な作用を持ち、肌荒れ対策の強い味方です。
肌の水分・油分バランスなどの肌コンディションを整え、肌荒れを防ぐだけでなく、健やかで透明感のある肌へと導いてくれます。
｜ミネラルと微量元素
☆肌を老化から守る皮脂膜は、『脂分』だけではなく、ミネラルが重要な役割を担っています。そして、皮膚では、微量元素が200以上の生体反応を調節。
皮脂膜の主要な成分は：
１）脂肪酸、グリセリン、ロウ、スクワレン、リン脂質、コレステロールなどの油性の成分
２）ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素 などのミネラル
３）アミノ酸類、乳酸、ピロリドンカルボン酸、尿素 などの水溶性の有機物
脂分と思っていた皮脂膜が「油性の成分」だけで構成されているのではない点が驚きです。
角質層を保護している皮脂膜は生体の神秘の一つです。
人体に必須の微量元素は亜鉛、銅、クロム、セレン、マンガン、モリブデン、コバルト、ヨウ素の８元素ですが、身体の重量の僅か0.02％しか体内に存在しません。それでも、これらは体内の様々な酵素活性や活性物質として存在しているため、微量でも大きな働きをしてくれます。
内臓などの体内には多くの必須微量元素が存在していますが、皮膚では、微量元素が200以上の生体反応を調節しています！
微量元素は、内臓や肌の生理機能に不可欠で重要な要素なのです。
食事から摂取したミネラルや微量元素は内臓に優先的に補充されるため、皮膚に届く量が少なくなると考えられています。
海藻に含まれる海洋由来のミネラルと微量元素を、肌に直接補給することにより肌機能や皮脂膜の機能をサポートしてくれます。肌機能の低下によってエイジングサインが目立つようになる前にエイジングケアを始めることが大切です。
☆コラーゲン生成に、ミネラル【鉄】が関わっています。
どのように？『ミネラルとコラーゲンに関係があるの？』と気になります。
線維芽細胞がコラーゲンを作るときにツボクサエキスやビタミンCなど抗酸化作用のある成分がないとしっかりとしたコラーゲンが生成されない、など条件はいろいろと挙げられますが、皮膚では、コラーゲンはさまざまな段階を経て合成されます。
コラーゲン合成の第一段階は、アミノ酸のプロコラーゲンへの変換です。この変換は、タンパク質の酵素(プロリルヒドロキシラーゼ)によって刺激され、鉄が存在する場合にのみ働きます。
鉄がなければ、コラーゲンの合成は行われないため、鉄はコラーゲン合成に不可欠です。
人間の体で起きている生体反応は本当に神秘的、と思ってしまいます。
☆ヨウ素は海藻に豊富に含まれているミネラルの一つですが、
甲状腺ホルモンの成分になるミネラルで、エネルギー代謝を促進する働きや体の成長を促進する効果があります。
甲状腺ホルモンは肌や髪に潤いを与える働きがあるので、不足すると肌がカサつくなどの症状が出る原因にもなります。美肌や美しい髪に欠かせないミネラルです。
海藻に含まれる成分に関して、できるだけシンプルにお話しをしてきましたが、
海藻エキスは、エイジングケアのための、ポリフェノール、カロテノイド、ビタミン類、必須脂肪酸、アミノ酸類、プロテイン、各種糖類、天然の海洋由来ミネラルと、亜鉛、銅・ヨウ素などの微量元素がたっぷり入った美容液のようなものなのです。
☆海藻エキスには、髪の毛への効果も
ミネラル成分が豊富な海藻には、髪の毛にとって重要な、亜鉛・鉄分・マグネシウム・カルシウムやアミノ酸類が含まれています。これらの栄養素によって
•髪の毛の主成分(ケラチン)の生成を助ける
•発毛を促す
•髪を美しく保つ
などの効果が海藻には備わっていると言われています。
肌の保湿成分となっているアミノ酸は、キューティクルの保湿効果を高めてくれます。
水分をどれだけ保っているかは肌だけではなく髪の毛にとっても大切なことです。
髪の毛の水分を保つために重要な役割を担っているのはキューティクルと呼ばれる毛髪表面の組織で、アミノ酸はキューティクルの保湿成分です。
艶がなく、パサついたり傷んだ髪では、アミノ酸の量も減っているのです。
必須アミノ酸が十分に体内にあっても、それだけではケラチンを合成することができないのですが、亜鉛は体内のアミノ酸からケラチン(髪の毛の成分)を合成する働きをサポートします。
さらに、抜け毛を防ぐために育毛サイクルを整えて正常な状態に戻すことが大切ですが、
亜鉛にはその働きを期待することができるのです。このことにより、AGAの進行を抑制する働きも期待されています。
また、褐色海藻ラミナリアディギタータには、皮脂をコントロールする亜鉛をはじめ、新陳代謝を促進するヨウ素、細菌の繁殖を抑制するフェノールやヨードなどの成分がたっぷり含まれています。
このような海洋由来の成分のよって頭皮環境を整え、皮脂対策をすることにより、女性の美しさを引き立てる髪のケアもおすすめです。
いかがでしたか？ 今回は、海藻の成分と肌への美容効果をご紹介しました。
長くなってしまいましたが、少しでも肌のメカニズムの神秘を感じていただければ、と思います。
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いかがでしたか？ 今回は、海藻の成分と肌への美容効果をご紹介しました。
長くなってしまいましたが、少しでも肌のメカニズムの神秘を感じていただければ、と思います。
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